

小説「おばあさんの温もり(後編)」
遠くの方で救急車のサイレンが聞こえ始めた。どんどんこちらへ近づいているようだ。しばらくすると救急車が到着し、救急隊員達が慌しく動き始める。川口は今だに目の前で起きている出来事が現実だとは思えずにいた。何かの拍子で目が覚めてまたいつもと何ら変わりのない日々が始まるのではないか。そう思わずにはいられなかった。でも目の前では現実におばあさんが倒れ、そしてストレッチャーで救急車の中へと運び込まれようとして...
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人生初の小説「おばあさんの温もり(前編)」
今日もいつもと何1つ変わらない、変われない一日が始まった。朝起きて、朝飯食って、歯を磨いて、トイレに行って、出勤する。アルバイト先のスーパーに向かって川口は自転車を走らせる。季節は冬、風がひんやりと冷たい。店に到着し着替えが終わり事務所へ行くと店長の姿があった。「おはようございます」「川口君おはよう。品出し頼むぞ」「分かりました」なんとも愛想の欠片もない会話だ。そう思いながらも川口は品出しのため店内へと...
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